西武新宿線 沼袋〜野方間   馬野幹
 
 
西武新宿線の下り各駅先頭車両の一番前っていうか
その、つまり運転手さんからとびら一枚隔てたすぐ後ろで
ぼくは黒人と並んで窓のそとをみていた
正午過ぎでさわやかな気持ちだった
俺たちはもう猛獣を槍で殺したりしなくてすんだ
誰もが財布にマネーやコインを持ち安全にスーパーで買い物をする
閑静な住宅街でもまぁ月に一度くらいは殺人事件も起きるけれど
たいていはやっぱり平和で
おばあちゃんたちは花に水をやったり隣の家の子供にせんべいをあげたり
おじいちゃんの仏壇に線香をあげて少し通じたり、うん
商店街は盛況だし
ほとんどの豚肉は安心して食べられるし
飢えや寒さに苦しむ人もほとんどなく
猫はあくびをし
チワワは歩き
ほのぼのしている
そんな町でぼくは黒人と並んでみていた
西武新宿線の下り各駅先頭車両の一番前っていうか
その、つまり運転手さんからとびら一枚隔てたすぐ後ろで
レールに反射する太陽のひかりを。

 
 
 

 
 


 

 

 

 
下敷きで光を
 
●著者 馬野幹
●出版社 ポエトリージャパン
●ISBN 4-9901806-3-1
●価格 840 円(税込)
●サイズ 148×92mm
●36P
●2006年7月2日 発行
●在庫数 あと30冊

 
注文メールへ
 
●内容
ポエトリージャパン刊の詩集、第三弾。
 

presented by Poetry Japan 著作権は各著作者に帰属します。このテキストと画像、およびMP3のデータは、閲覧・試聴以外に一切使用できません。無断で複製・転載をしますと、法的に罰せられます。ご注意下さい。
 
※立ち読み用の詩はお使いになっているブラウザのフォントサイズによって、長い行が折り返されることがあり、原文と違う位置で改行されることがあります。予めご了承下さい。
 

(c)Copyright 2003-2XXX by Poetry Japan All rights reserved. All original works published in this web site remain under the copyright protection as titled by the authors.