韓国詩について 
 韓国での詩の盛況 
  
                        
佐川亜紀 
 

 

 韓国では、日本よりずっと詩集が売れています。
最近では、1994年に出した崔泳美チェ・ヨンミの
『三十、宴は終わった』が100万部売れたそうです。
これは、ソ連崩壊後の政治(まつりごと)の季節が終わった
時代を象徴し、「・・・・が終わった」は社会的コピーとして
会社などのコピーにも使われるほど流行しました。
チェヨンミは、経歴もソウル大中退、学生結婚で離婚と
新しい女性像を体現し、ルックスも良く、スター性があります。
性表現も韓国女性詩人としては大胆でした。
韓国では、それほどパフォーマンス的朗読はしていませんが、
チェヨンミが感極まって泣きながら朗読したことがあり、
感情豊かです。

韓国で詩が売れるのは、

1、詩人の社会的ステータスが高い。詩人が尊敬される。
  (官吏登用の科挙で詩文を重んじた伝統という説もある。)
2、民主化運動などの社会運動の中で詩人が活躍した。
  日本でも知られている金芝河。
  独立運動に通じる尹東柱の詩。
  社会的な詩が日本より重視され、影響力がある。
3、新聞・文芸誌が新人コンクールをし、デビューさせる。
  正月一日に一面を使って発表する。
  (主要新聞・小説の雑誌も詩を多く載せる) 
4、詩集がハンデイなソフトな作りで、安い。
  日本は自費出版で出版社が利ザヤを求めるためにも高く
  するが、韓国では売るのが常識なので、売りやすく作る。
  売れるから、ますます売れるように流通させ、
  日本では売れないから、ますます売れない作りになっている。
5、短歌が衰退し、俳句が無い。
  韓国にも短歌で時調というのがあるが、日本よりも長く、
  きまりが多いため、衰退している。現在も書かれてはいるが、
  口語自由詩の方が言いたいことをどんどん言う韓国人に
  あっているみたい。日本のように型からは入らない。
6、CD化もされている。HPもかなりある。
  など。

 ソウルの中心部の本屋・教文堂に行きましたが、詩集のコー
ナーはかなり広い。本棚は両面も入れると8個くらいか。(うろおぼえ)
売れている詩集やメルヘン詩集のコーナー。
現代詩人のコーナー。近代詩や研究書・文学史・立派な作りの
コーナー。(韓国の詩集がすべてハンデイではない、重鎮の詩集は
立派なのもある。モダニズムで有名な近代詩人李箱の立派な本が
山積みになっていたのには驚きました。)
一説には、だんだん詩集が売れなくなり、韓国詩の行く末も危ない
という声もありますので、バラ色ではありません。
でも、日本より今も活気があるのは確かです。

私のHPの韓国詩のコーナーもご参考に。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~sagawa