VOL1.「イル・ポスティーノ」
IL POSTINO
1995年 伊・仏合作映画
監督 マイケル・ラドフォード
出演 マリオ/マッシモ・トロイージ
パブロ・ネルーダ/フィリップ・ノワレ
祖国を追われた詩人のネルーダはイタリアのある貧しい島にやってくる。彼のもとへファンレターを届ける臨時郵便配達人として雇われた青年マリオはだんだん彼のつくる詩に興味を持ち始める。やがて島一番の美女に恋をしたマリオはネルーダに詩の手ほどきを受けながら彼女に詩をささげ遂に二人は結婚をするが間もまく追放処分が解けたネルーダは祖国へと帰っていく。祖国に帰った詩人を思いつつマリオは....ここから先は映画を見てね。
nao
「イル・ポスティーノ」って名前だけはなんとなく
聞いていたんだけれど最初はアメリカ映画のSFアクション
だと思っていたんだよね。
でもビデオのクリップを見たらフィリップ・ノワレが出演しているじゃない。
ああ、これは違う路線のいい映画に違い無い..って思った。
JONA
始めは本当に、淡々とした映画、
の心づもりで見たんですよね。
それで、ふいをつかれた、というか。
映画の大部分を
数々の美しい言葉や風景で占めておいて
きっと見えないせつなさみたいなものが
少しずつ積もっていってたんだろうなあ。
だから、最後背中をトンと軽く突かれただけで
ウっと来てしまった。そんな感じでした。
うーん、にくい演出だわ。
>でもビデオのクリップを見たらフィリップ・ノワレが出演しているじゃない
めちゃいい配役でしたよね。
もう一つ。
自分で「泣いた」、とか書いといてなんだけど
始めて見る人には、感動的な映画のつもりで
観てほしくないなあ、なんて。
やっぱり淡々、のつもりで観てほしい。
というか、極端な話、この感想見ないで観て欲しい。
なんてね。(え、もう遅い?)
予備知識ないほうがいいのは、
どの映画でもそうかもしれないけれど。
nao
ふむふむ、わかるよ、あらすじを先に言っちゃうと
おもしろくないものね。
よってここのページは見た人だけ読むべし..と。
私はさ、あの主役の青年があの人が師匠の詩人(フィリップ・ノワレ)を見るまなざし・・というか気持ちがよくわかるのね。
自分の師匠が絶対にこすからいずるな人間じゃないって心から信じていて、自分に振り向いてくれなくても慕っている..っていう。。それにはそれだけの人間的な価値があの詩人にあるんだよね。世の中にそういう人って実際いると思うし、そういう人に巡り合える,,っていうのは素晴らしい人生の財産だと思う。
ユウ編集長
尚ちゃんはノワレに近いお師匠さんがいるもんね。
僕はいないんだよなあ。
本を通してとかはもちろんあるんだけど。
だからそういうのはいいなって思う。
いや、あんまり関係ないか。
実際交流があるかないかとか、自分のことをとか、
関係はないよね。
恋をしていたって、相手が手に入れられるかどうかなんて
そんなの全然問題じゃないもん。
もう二度とあえなくったって、あんまり関係ないのな。
nao
結局..っていうか、人って何か崇拝するものが
欲しいのかなあ、とも思うね。
この人の考え方にはついて行きたい。。っていう
「この人」っていう人に出会えた人って幸せだと思うよ。
それは人を信じることができる..という第1歩だから。
JONA
私はその「この人だって信じる」力がどうも弱い気がする。
しょっちゅう迷ってる。
だから、そういうお師匠さんに逢えるって
心の底からうらやましいし、そういう信じる力を持つ人を
すごいって思います。変な話、宗教に入れこめる人まで
ある意味うらやましい、と思うもの。自分にはできないことだから。
話がずれちゃった。(^^;)
このマリオってずうずうしいんですよね。
でもそれは、物事の奥を見極めるには必要な
ずうずうしさ、という気がする。
絶対最初は詩人も内心(こりゃ、やべえな)と
思った部分もあったと思うんですよ。
どんどん彼がはいりこんでくるから。
少し距離置いとこう、みたいな。
でも彼のひたむきさが本物だったから、
詩を言葉を知りたい、という気持が本物だったから、
詩人を慕う気持にこすっからいものがなかったから、
詩の奥にあるものを見せてあげたくなったんじゃないかな。
そんな気がします。
ポポリ星人
んだんだ。マリオのずうずうしい堂々としたところ好きどす。
ほいで、師弟関係つうより、友情、つう感じがしましたのう。
ノーベル平和賞の詩人と、イタリアの田舎の島のひとりの郵便配達人。どんなに立場や年齢は違っても、そこに友情は生まれるん
どすなあ、つうのにしみじみしました。
ユウ編集長
あのさ、マリオが詩人から手紙もらうじゃん。
まあ秘書からのだったわけだけど。
みんながなんだかんだいう中で、
「僕の方こそ世話になったんだ」って言う。
マリオ傷付いてたね。
すごく傷付いてた。
でもああ言ったのは、意志の力なんだよな。
「なんだよバカだなあ、僕が世話になったんだよー」って、
素直にいったと言うよりもさ。
あの時点ではテープをつくって送るまでの気持ち出なかったよね。
それで、閉めていた詩人の家に行ったら、
ほら、あのシーンだよ。
いろんなことがよみがえってきて、
もう目が輝いていてさあ。
心が動いて、信じることが出来たんだよね。
場所ってさ、
人っていろいろなところにいろんなもの残していくよね。
マリオは最高に幸せなまま死んじゃった。
nao
なんかその辺のマリオの心理状態って
すごくよくわかるような気がするな。
自分の事を忘れ去られた..っていう遺恨の気持ちより
詩人との暖かい交流の記憶をとどめておこうとする..
人間の生き方としては恨んだり嫌ったり
する方が容易いと思うんだけれど
それが出来ないという純粋で澄んだ心に
この人のもしくはこの映画の本当の詩心っていうのを
感じるな。
ポポリ星人
主人公の青年マリオの、頬の赤みが抜けとらん素朴さがもう、
ホンマにええのう、と思いました。
ほいで…
nao
そうそう、あのマリオ役をやった
マッシモ・トロイージは実際は41才。でもなんだか
本当に青年のような純朴さ。
私は詩人のネルーダに「この島で一番美しいのはなんだい?」って聞かれて、彼女の名前をはにかみながら答えるところ..なんだか演技に見えないくらい自然で良かったな。
JONA
>頬の赤みが抜けとらん素朴さ
言い得て妙〜。
彼、風の音、風景までも録音しようとしたんですね。
もーしょうがないなあ、って
笑いながらも涙がにじんでくるような。
がき
マッシモの演技がとても素朴で自然で、映画でなくほんとにマリオっていう一人の青年の物語として観ました。他の人はみんな俳優で、女優で演技してるなぁって感じがしたけど(いやそれでも自然やけど)マッシモはすごい。
あの照れて泳ぐ目元、少し俯いて言葉に迷う表情。手とか。
映画の中では二回泣きました。海岸でベアトリーチェに詩を贈るところ、ラストでネルーダが海岸を歩くところ。
風景も、音楽もすごく良かった。
詩ってええなぁ(;_;)
サントラには、映画で使われた音楽を背景にイーサン・ホークやジュリア・ロバーツや有名ハリウッドスターたちが詩の朗読をしている…んだそうです。
nao
そうそう、マッシモは心臓病で、この撮影が終わった
12時間後くらいに亡くなったそうですね。
なんかそう思うと、ちょっと映画の中でも
顔色とか悪いような...
なんだか..う〜ん、映画と現実が交叉したような
物語になってるよね。
この映画をみたら詩って、そうか..そうなんだ〜って
改めて言葉のもつ力みたいなのを感じさせられたし
詩はけして難しいものじゃないんだなあ、誰でも親しめる
ものなんだなあ、って思ったな。
ポポリ星人
「心臓の最後のひとかけらをこの映画にしたい」と言っていた
そうどすなあ…。
素朴な風貌の中に、実はすごい強さをもった人じゃったんどすね。
nao
本当は手術を受けるように勧告されていたそうなんですが
映画撮影を優先しての結果だったそうですね。
がき
映画に出て来た言葉のひとつひとつが、すごく胸に響きました。
12時間後に亡くなるなんて、マッシモはこの映画にほんとに命かけていたんだなぁって思います(i_i) 撮影もほんとに大変だったろうなぁ。
『心臓の最後のひとかけらを・・』
まさにそんな映画になりましたね。
ああああ泣けてきた。いかん・・(>_<)
またいつか見たい、お気に入りの映画になりました。
|