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知らない町で   久坂夕爾


知らない町で 私は背広を新調した
知らない町で
 美しい飛沫のように 時はながれた

知らない町で 規則正しく夕は暮れ 朝は明けた
知らない町で
 人は うろおぼえの自分の名をポケットに詰め
 年齢と職種の帽子をかぶり
 服飾について語りあった

裏返した名刺の余白にも
 書くべきことは何事もなかった だが

待ち合わせの時刻はとうに過ぎている

知らない町で
 信号は赤く点滅していた
 赤く
 
 
 
 

 
口ずさむ孤島

 
●著者  久坂夕爾
●出版社  日本自由詩協会
●ISBN 978-4-9902343-4-8
●価格 500 円(税込)
●サイズ 177×128mm
●56P
●2007年1月22日 発行
●在庫数 あと1冊
 
 
冊 
    
 

 


 
 
独我論について     東国三朗


偶然 電車の中で居合わせた
見知らぬ人の 顔 雑踏の中の
急ぎ足で 歩く人々の 顔
彼らが 北極にいるとしたら 
見慣れた人たちの 顔 
友達 恋人 先生 家族 あるいは
一度会った 人たちは南極にいる


一度会ったというだけで 
北極から南極へ あるいは 地獄から天国へ
行けるとしたら 人間は かなりいいかげん 


古い親しい友達と
そこら辺で会った 自転車に乗った 
見知らぬおじさん との違いは
よく知っている人と
全く知らない人との 違いなのだが


古い親しい友達は 涙もろくて健康で
風邪など余り ひいたこともないが
だからといって それは その人自身ではない
それは 全部自分の方の 想像である


見慣れているという この一瞬の中に
この想像が詰め込まれている
これは ほとんど正確だから
想像であることさえ 忘れてしまう


親しい友達にしても 彼に
自分が成り代われるわけではない 
見知らぬおじさんに 成れないのと同じように


北極の氷が 余りに冷たいからといって
南極の氷が 暖かいわけではない<  
 
 
 

 
傷心の形而上学

 
●著者  東国三朗
●出版社  祐園
●ISBN 
●価格 980 円(税込)
●サイズ 148×105mm
●74P
●2005年4月11日 発行
●在庫数 あと1冊
 
 
冊 
    
 

 


 


 
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